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※この記事では『はじめてのセフレ』第3巻までの出来事や人物関係に触れます。各イベントの結末や関係の決定的な変化は伏せていますが、ある程度のネタバレを含みます。
ゆりかわさんの『はじめてのセフレ』は、マッチングアプリで出会った大学生の佐野清貴と藍原環が、恋人ではなくセフレとして関係を始めるラブコメディです。
2026年8月10日に発売された第3巻まで読みました。タイトルや性的な描写が目を引く作品ですが、読み進めるほど気になるのは、好意があるのに「出会い方」に縛られて関係を変えられない二人の恋愛です。
清貴は特別に派手な人物ではなく、ただ優しく、一般的な性欲もある大学生です。環も自分の性欲を否定せず、最初は純粋にセフレを探していました。そんな二人だからこそ、体の関係から始まった恋が妙に現実的でもどかしく感じます。
セフレとして出会ったから、好きの先へ進めない
第1巻では、清貴と環の出会いから、セフレとして付き合い始めるまでが描かれます。
最初から恋人を探して出会ったわけではありません。お互いに求めていたのは、割り切った体の関係でした。ところが、会う回数を重ねるうちに相手の優しさや可愛さを知り、当初の条件だけでは説明できない気持ちが生まれていきます。
普通の恋愛なら、惹かれた時点で次の一歩を考えられるかもしれません。しかし二人には「セフレとして出会った」という前提があります。好意を口にすれば、相手が求めていた気軽な関係を壊してしまうかもしれない。そんな不安が、二人を同じ場所にとどめています。
環は清貴への気持ちにどこまで気づいているのか。気づいていたとして、それを恋愛として認められるのか。読者には両片思いに見えても、本人たちは簡単に答えを出せません。この認識のずれが、作品の一番もどかしくて面白い部分です。
清貴の普通の優しさが関係を特別にしていく
清貴は、圧倒的に格好いい完璧な男性として描かれているわけではありません。
性欲はあり、環との関係を楽しみながらも、相手の反応や気持ちを無視しない。清貴の良さは、特別な行動よりも、環を一人の相手として大切にする日常的な優しさにあります。
だからこそ環も、最初に求めていたセフレという枠を越えて惹かれていくのでしょう。ただ優しいだけなら関係を整理できたかもしれません。体の相性だけでも、割り切れたかもしれません。その両方が重なってしまうことで、二人の関係は名前を付けにくいものになっています。
箱根旅行から、会う理由が少しずつ変わっていく
第2巻では、サウナやコスプレ、箱根への温泉旅行など、二人で過ごすイベントが増えていきます。
中でも箱根旅行は、いつもの関係から少し離れ、二人で長い時間を過ごす出来事です。旅行へ行くこと自体が、体の関係だけでは説明しにくい親密さを感じさせます。
それでも二人は、はっきり恋人になるわけではありません。恋人のような時間を過ごしても、自分たちをセフレとして扱おうとする。その言葉と行動のずれに、関係が少しずつ変化していることが表れています。
3巻のクリスマス、バレンタイン、大雪
第3巻では、クリスマスからバレンタインへ季節が進みます。
クリスマスは恋人を連想しやすいイベントです。清貴は一生懸命デートプランを考えますが、二人はまだセフレという立場にいます。恋人のようなことをしたい気持ちと、関係を決めつけてはいけないという遠慮が同時に見える場面でした。
バレンタインや、大雪によって清貴が環の家へ泊まることになる出来事でも、二人の距離は近づきます。けれど、物理的に一緒にいる時間が増えることと、自分の気持ちを言葉にすることは別です。
第1巻の出会い、第2巻の箱根旅行、第3巻の季節イベントと、二人で共有する思い出は確実に増えています。それでも関係の名前だけが追いつかない。その積み重ねがあるため、わずかな態度の変化にも期待してしまいます。
性的な描写と、環の可愛さをどう見せるか
本作には性的な描写が多くあります。ただ刺激の強さだけを狙うのではなく、二人の距離や相手への気遣いが見える場面として描かれているところが印象的です。
環は普段、格好いい女性に見えます。自分の性欲を自覚し、セフレを探すという目的も持って行動していました。その一方で、清貴の前では可愛らしい表情や恋愛に不器用な一面を見せます。
格好よく振る舞える女性が、好意を持った相手との関係では迷ってしまう。このギャップが環の魅力です。性的な場面でも、自信だけではなく、清貴を意識する気持ちが表情や反応ににじみます。
露骨な描写が苦手な人には合わない可能性がありますが、二人の関係を描くうえでは欠かせない要素です。体は近いのに心の距離を測りかねている、という作品の矛盾が最も分かりやすく表れています。
『はじめてのセフレ』はこんな人におすすめ
・両片思いのもどかしいラブコメが好きな人
・体の関係から始まる恋愛を読みたい人
・大学生同士の不器用な距離感に惹かれる人
・格好よさと可愛さをあわせ持つ女性が好きな人
・性的な描写を含めて、二人の心の変化を楽しみたい人
・旅行やクリスマスなど、季節のイベントで進む恋愛が好きな人
まとめ
『はじめてのセフレ』は、清貴と環が体の関係から始めたために、好意が生まれても次の一歩を決められない両片思いラブコメです。
清貴は優しく、一般的な性欲を持つ普通の大学生。環も性欲を持ち、自分の意思でセフレを探していました。どちらかが相手を一方的に振り回すのではなく、同じ前提で出会った二人が一緒に過ごすうちに惹かれていくからこそ、関係を変える難しさに納得できます。
箱根旅行、クリスマス、バレンタイン、大雪の日のお泊まりと、恋人らしい思い出は増えていきます。体はすでに近い二人が、自分の気持ちをどこで認め、どう言葉にするのか。性的な描写と純粋な恋愛の両方があるからこそ、その答えを見届けたくなる作品です。


